現代のロシア文学 — ソ連崩壊後の作家たち

現代のロシア文学は、1991年のソ連崩壊から今日までを指す。

崩壊によって文学の側に起きたことは二つあり、方向が逆である。一つは過去の解禁、もう一つは文学の地位の低下である。

発表できなかった作品が、一斉に刊行された

まず、ソヴィエト期に発表できなかった作品が一気に刊行された。

ザミャーチンわれらプラトーノフの主要作、ソルジェニーツィン収容所群島アフマートワレクイエムの完全版、シャラーモフの『コルィマ物語』。七十年分の未発表作が数年のうちに読めるようになった。

この期間、ロシアの読者は過去を読むのに忙しかった。同時代の新作より、埋もれていた作品のほうが話題になる状況が続いた。

文学が、社会の議論を代替する必要がなくなった

もう一つの変化は逆方向である。

黄金時代以来、ロシアでは文学が社会の議論の代わりを務めてきた。議会も自由な報道もないから、小説と批評がその役を負った。作家は社会の良心という位置に置かれ、それが重みと危険の両方をもたらした。

その前提が消える。報道が自由になれば、社会について語る場は文学だけではない。文学は数ある表現の一つになった。 「ロシアの作家は預言者である」という自己像の終わりとして、これはしばしば語られる。喪失として書かれることも、正常化として書かれることもある。

現代の主な作品

作品発表作者種類
『戦争は女の顔をしていない』1985年スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ聞き書き
『チャパーエフと空虚』1996年ヴィクトル・ペレーヴィン小説
『青い脂』1999年ウラジーミル・ソローキン小説
『クコツキイの症例』2001年リュドミラ・ウリツカヤ小説

ペレーヴィンは、ソ連崩壊後の混乱を、仏教的な観念と広告・メディアの言語を混ぜた小説で書いた。『チャパーエフと空虚』『ジェネレーションP』など。現実がどこにもないという感覚を主題にする。

ソローキンは、社会主義リアリズムの文体を精密に模倣し、途中から破壊するという方法をとった。言語そのものを標的にする。 作品が政治的な攻撃の対象になったこともある。

ウリツカヤは、ソ連期を生きた家族の歴史を丁寧な語りで書く。制度ではなく、その下で暮らした個人の側から20世紀を見る。

アレクシエーヴィチはベラルーシの作家で、ロシア語で書く。数百人への聞き取りを構成した「声の集積」という形式をとり、『戦争は女の顔をしていない』『チェルノブイリの祈り』などを書いた。2015年にノーベル文学賞を受けている。受賞は「文学」の範囲をめぐる議論も呼んだ。

現代が示すのは、預言者だった文学の終わり

中身
過去の解禁七十年分の未発表作が数年で刊行され、読者は過去を読んだ
地位の変化文学が社会の議論を代替する必要がなくなった
方法の多様化観念小説、文体の破壊、家族史、聞き書き
国境と言語ロシア語で書く作家がロシア国外にも広く存在する

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