ジャン=ジャック・ルソー
- 生没
- 1712–1778
- 国
- フランス
- 時代
- 18世紀
何をやったか
啓蒙の陣営にいながら、他の面々と決定的に違っていた。 理性と文明が人間を良くするという前提を共有せず、学問や芸術の進歩は人間を堕落させたと論じ、社会が不平等を作ったと論じた。ヴォルテールとは激しく対立している。
政治の側では『社会契約論』(一七六二年)が、主権は人民にあると論じ、フランス革命の理論的な源泉の一つになった。教育の側では『エミール』が、子どもを大人の縮小版として扱うのをやめ、発達段階に応じて育てることを説いた。この書の中の宗教論が理由で逮捕状が出て、逃亡生活に入っている。
文学史上もっとも大きいのは『告白』である。自分の生涯を、恥ずべき部分まで含めて全部書くと冒頭で宣言した。盗み、嘘、性的な事柄、他人に罪をなすりつけた記憶まで書いている。
文学史における位置
「自分について書く」という主題を徹底した。 ミシェル・ド・モンテーニュが16世紀に始めたものを、告白という形式で極限まで押し進めたことになる。
ここから19世紀のロマン主義が直接出てくる。感情、内面、個人の独自性を文学の中心に置く態度は、ルソーの延長線上にある。シャトーブリアンやスタール夫人がその橋渡しをした。
思想史の面では、近代の政治思想・教育論・自伝文学の三つの領域に同時に起点を持つという点で例外的である。ただし『社会契約論』の解釈は今日まで争いがあり、革命との関係を単純な因果で語ることには注意が要る。
代表作
- 『人間不平等起源論』(一七五五年)— 文明が不平等を作ったと論じた
- 『新エロイーズ』(一七六一年)— 書簡体小説。当時の大ベストセラー
- 『社会契約論』(一七六二年)— 主権在民
- 『エミール』(一七六二年)— 教育論。逮捕状の原因
- 『告白』(死後の一七八二〜八九年)— 自伝
何から読むか
文学として読むなら『告白』である。自分の恥を書くという方法がどこまで徹底されているかが、読めばすぐ分かる。
『社会契約論』は政治思想の書で、文学として読むものではない。ただし短く、文学史の背景を知るうえでは有用である。
この先へ
- 時代の中で見る: フランス文学 18世紀
- 関連する思潮: 啓蒙思想