ヴォルテール
- 生没
- 1694–1778
- 国
- フランス
- 時代
- 18世紀
何をやったか
文学者というより、生涯を論争に費やした人物である。 詩、悲劇、歴史、哲学、書簡、あらゆる形式を使ったが、目的は一貫して不寛容と迷信への攻撃だった。
貴族に侮辱されて投獄され、イギリスへ亡命した経験が転機になった。イギリスでは信仰が複数あって共存し、商人が尊敬され、ニュートンが国葬された。帰国後に書いた『哲学書簡』は、イギリスを褒めることでフランスを批判する体裁をとり、焚書処分になった。
カンディード(一七五九年)は今日最も読まれている。「この世は可能な世界のうち最善である」という楽天論を、主人公に災難を浴びせ続けることで潰していく。リスボン大地震、宗教裁判、戦争、奴隷制。軽い調子の短い話が、当時の一つの思想的立場を破壊した。
文学史における位置
啓蒙思想を代表する。モンテスキュー・ドゥニ・ディドロ・ジャン=ジャック・ルソーと並ぶが、戦闘的な論争家という点で最も際立っている。
具体的な司法の不正に介入した。 カラス事件では、冤罪で処刑された商人の名誉回復のために三年戦い、判決を覆させている。この行動は、作家が自分の名声を賭けて不正と戦う型の先駆であり、19世紀のエミール・ゾラのドレフュス事件介入はこの系譜の上にある。
生涯に百以上の筆名を使ったとされる。検閲下で書くための技術が、この時代の文体そのものを規定していた。
なお「私はあなたの意見に反対だが、あなたがそれを言う権利は命がけで守る」という有名な言葉は、後世の伝記作者による要約であり、本人の言葉ではないとされる。
代表作
- 『哲学書簡』(一七三四年)— イギリス礼賛によるフランス批判。焚書
- カンディード(一七五九年)— 代表作。楽天論への攻撃
- 『寛容論』(一七六三年)— カラス事件を機に書かれた
何から読むか
カンディードを勧める。百ページ強で読める。 十八世紀の思想的な争点が、笑い話の形で入っている。
結末で主人公が「われわれの畑を耕さねばならない」と言う。世界を論じるのをやめ、手の届く範囲で働け、という意味に読まれてきた。この一句の解釈だけで議論が続いている。
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