フランツ・カフカ
- 生没
- 1883–1924
- 国
- ドイツ
- 時代
- 20世紀前半
何をやったか
説明を欠いた状況に人物を投げ込み、その中で徹底して理屈を積み重ねた。 変身(一九一五年)は、男がある朝目覚めると巨大な虫になっていた、という一文から始まる。なぜそうなったかは最後まで説明されない。
審判では、主人公が身に覚えのない罪で逮捕され、罪状が分からないまま裁判の手続きだけが進む。城では、城に呼ばれた測量士が城にたどり着けない。
共通するのは、不条理な前提を疑わずに、その中の論理だけを精密に追う点である。 悪夢の構造に似ている。
生涯を保険局の職員として過ごし、生前に刊行されたのはごく一部である。 友人マックス・ブロートに遺稿の焼却を遺言したが、ブロートはこれを実行せず刊行した。四十歳で結核により没した。
文学史における位置
「カフカ的」という形容が普通名詞として使われるほど、独自の世界像を確立した。 官僚制の不条理、匿名の権力、疎外といった二十世紀の主題を先取りしている。
実存主義の先駆として繰り返し参照される。アルベール・カミュは『シーシュポスの神話』でカフカを論じており、ジャン=ポール・サルトルも影響を受けている。
モダニズムの中でも特異な位置にある。ジェイムズ・ジョイスやヴァージニア・ウルフが語りの技術を実験したのに対し、カフカの文体はむしろ平明である。 異様なのは文体ではなく状況設定である。
日本では安部公房との近さがしばしば指摘される。
プラハに生まれ、ユダヤ系で、ドイツ語で書いた。どの共同体にも完全には属さない位置が作品の背景にあると読まれてきた。
代表作
何から読むか
変身が短く、カフカの方法が最も凝縮されている。 百ページ程度で読める。
長篇は未完のまま残されたものが多く、章の順序も編者の判断による。 断片的に感じられるのは読者の理解力の問題ではない。
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