ジャン=ポール・サルトル
- 生没
- 1905–1980
- 国
- フランス
- 時代
- 20世紀以降
何をやったか
哲学と文学の両方で活動した。 哲学書『存在と無』(一九四三年)で実存主義の体系を示し、小説『嘔吐』(一九三八年)や戯曲でも同じ主題を扱っている。
定式化したのが「実存は本質に先立つ」という命題である。人間はまず存在してしまい、後から自分が何であるかを選び取るしかない。したがって人は自由の刑に処されている、という論理になる。
「アンガージュマン(社会参加)」を掲げ、作家は自分の時代に対して責任を負うと論じた。アルジェリア戦争への反対、ベトナム戦争への批判など、生涯にわたって政治的発言を続けている。
一九六四年、ノーベル文学賞に選出されたが受賞を辞退した。 作家が制度によって権威づけられることを拒む立場からである。
文学史における位置
戦後フランスの思想と文学の中心にいた。 雑誌『レ・タン・モデルヌ』を主宰し、文壇と論壇の両方に影響力を持った。
アルベール・カミュとは盟友だったが一九五二年に決裂している。シモーヌ・ド・ボーヴォワールとは生涯の伴侶であり、思想的にも協働した。
「文学は何のためにあるか」を正面から問うた点で、文学史の中で特異な位置を占める。『文学とは何か』では、散文は行動であり、書くことは世界を変えることに関わると論じた。この立場は後に、文学の自律性を重んじる立場から批判を受けている。
一九五〇年代以降、構造主義の台頭とともに影響力は相対化されたが、作家が社会に介入する型はエミール・ゾラから続く系譜の中で受け継がれた。
代表作
- 『嘔吐』(一九三八年)— 存在の偶然性を主題にした小説
- 『存在と無』(一九四三年)— 哲学の主著
- 『出口なし』(一九四四年)— 戯曲。「地獄とは他人のことだ」
- 『文学とは何か』(一九四七年)— 文学論
何から読むか
戯曲『出口なし』が最も短く、主題も凝縮されている。一幕で、登場人物は三人。 実存主義の考え方が具体的な状況として提示される。
『嘔吐』は小説だが哲学的な省察が長く、小説として読むと戸惑う部分がある。『存在と無』は専門的な哲学書で、文学として読むものではない。
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