アルベール・カミュ
- 生没
- 1913–1960
- 国
- フランス
- 時代
- 20世紀以降
何をやったか
異邦人(一九四二年)を書いた。母の葬儀で泣かなかった男が、殺人の裁判でそのことを咎められる話である。世界に意味はないという前提から出発して、それでもどう生きるかを問う構造になっている。
同じ年に評論『シーシュポスの神話』を発表し、不条理という概念を提示した。人間は意味を求めるが世界は答えない、その断絶が不条理である、という論である。
『ペスト』(一九四七年)では、疫病に閉ざされた都市で人々がどう振る舞うかを描いた。個人の不条理から、連帯の問題へ主題が移っている。
アルジェリア生まれの貧しい家庭の出身で、この出自は作品の背景に一貫してある。一九五七年にノーベル文学賞を受賞し、一九六〇年に交通事故で没した。
文学史における位置
実存主義の文脈で語られることが多いが、本人はそのラベルを拒んでいる。
ジャン=ポール・サルトルとは一九五二年に決裂した。ソ連の強制収容所をめぐる政治的立場の対立が原因である。一つの流派として括ることには当人たちの側から異論があったことは、押さえておく価値がある。
文体の面では、異邦人の簡潔で乾いた文章が特徴的である。複文を避け、感情の説明を省く。この文体そのものが「世界は意味を語らない」という主題を体現していると読まれてきた。
代表作
- 異邦人(一九四二年)— 代表作。不条理の提示
- 『シーシュポスの神話』(一九四二年)— 不条理を論じた評論
- 『ペスト』(一九四七年)— 疫病と連帯
- 『転落』(一九五六年)— 独白体の後期作
何から読むか
異邦人から入るのが定番である。短く、文体が平明で、主題も明確である。
そのうえで『ペスト』へ進むと、同じ作者が不条理から連帯へ問題を移していることが見える。評論『シーシュポスの神話』は小説を読んだ後のほうが理解しやすい。
冒頭の一文の訳し方が作品の印象を決めるため、書店で複数の訳を読み比べる価値がある。
この先へ
- 時代の中で見る: フランス文学 20世紀以降
- 関連する思潮: 実存主義