チャールズ・ディケンズ
- 生没
- 1812–1870
- 国
- イギリス
- 時代
- ヴィクトリア朝
何をやったか
大衆に読まれながら社会批判をやった稀な作家である。 作品は雑誌に月刊で連載され、続きを待つ読者が街にあふれた。この形式が文体にも影響しており、各回の終わりに引きがあり、人物の特徴が誇張されている。
主題は一貫して社会の底辺にある。孤児院、債務者監獄、法廷の遅延、産業都市の煤煙。彼自身が十二歳のとき父の投獄で工場労働に出されており、この経験が生涯の主題になった。
人物造形の力が際立っている。極端に類型化された人物が、それでも生きて見える。 この手法は後の大衆小説に長く受け継がれた。
文学史における位置
ヴィクトリア朝を代表する。同時代のフランスのオノレ・ド・バルザックと並べられることが多く、都市と社会を小説で書き切ろうとした点で共通する。
写実主義に分類されるが、誇張と感傷が強く、厳密なリアリズムとは言いにくい。 悪人はとことん悪く、善人は報われる。この点で、作者の判断を消そうとしたギュスターヴ・フローベールとは対極にある。
社会への実際的な影響も大きい。作品が世論を動かし、貧民学校や労働環境をめぐる議論に影響を与えたとされる。
日本でも明治期から翻訳され、社会小説の型として受容された。
代表作
- 『オリヴァー・トゥイスト』(一八三七〜三九年)— 孤児と犯罪
- デイヴィッド・コパフィールド(一八四九〜五〇年)— 自伝的要素が最も濃い
- 荒涼館(一八五二〜五三年)— 法廷の遅延。構成が最も複雑
- 大いなる遺産(一八六〇〜六一年)— 出世と幻滅
何から読むか
大いなる遺産が比較的短く、主題も明確なので入りやすい。出世を望んだ青年が幻滅していく話で、スタンダールの赤と黒と主題が近い。
デイヴィッド・コパフィールドは本人が最も愛着を持った作品とされるが長い。荒涼館は構成の複雑さで評価が高いが、初読向きではない。
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