清少納言
- 生没
- 966頃–1025頃
- 国
- 日本
- 時代
- 中古
何をやったか
枕草子(一〇〇〇年頃)を書いた。三百段ほどの短い章段からなる随筆である。
内容は三種類に大別される。「春はあけぼの」で始まる季節の描写、「うつくしきもの」「にくきもの」といった主題別の列挙、そして宮廷生活の回想である。
文章が速く、断定的で、容赦がない。 気に入らないものを挙げる段では、長話をする客、いびきをかく男、急ぐときに限って遅い牛車などを次々に切り捨てていく。千年前の人間が何を鬱陶しいと感じたかが、そのまま残っている。
一条天皇の中宮定子に仕えた。定子の一族が政争で没落していく時期にあたるが、枕草子にはその陰りがほとんど書かれていない。意識的に明るい面だけを書いたとする見方が有力だが、断定はされていない。
文学史における位置
「をかし」の文学を代表する。 知的に面白い、洒落ている、機知が利いている、という感覚である。これは紫式部の源氏物語が体現する「もののあはれ」(しみじみとした情感)としばしば対比される。
ただしこの対比は、後世の文学史が整理のために立てた図式でもある。どちらの作品にも両方の要素があるため、単純な二分法として受け取るべきではない。
枕草子は、方丈記(鴨長明)・徒然草(吉田兼好)とあわせて三大随筆と呼ばれる。三つの中では最も古く、しかも随筆というジャンル自体がこの作品から始まったと見なされている。
紫式部は『紫式部日記』で清少納言を辛辣に批評しており、当人同士の関係が良好でなかったことがうかがえる。 ただし二人が宮廷に仕えた時期はずれており、直接顔を合わせたかどうかは不明である。
代表作
- 枕草子(一〇〇〇年頃)— 日本の随筆の出発点
何から読むか
章段が独立しているので、どこから読んでも成立する。 通読せず、目次から気になる段を拾う読み方に向いている。
「春はあけぼの」の段は暗誦されるほど有名だが、清少納言の本領はむしろ「にくきもの」のような列挙の段にある。 観察の鋭さと文章の速度が最もよく出る。
原文は註付きの校注本か、現代語訳との対訳で読むのが現実的である。