シモーヌ・ド・ボーヴォワール
- 生没
- 1908–1986
- 国
- フランス
- 時代
- 20世紀以降
何をやったか
『第二の性』(一九四九年)を書いた。「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という一文が知られている。生物学的な性と、社会的に作られる性差を区別する視点を提示したものと読まれてきた。
膨大な資料をもとに、生物学・精神分析・歴史・神話・文学を横断して、女性がどのように「他者」として位置づけられてきたかを分析した。その後のフェミニズム理論の出発点の一つとされる。
小説家としても活動し、『レ・マンダラン』(一九五四年)でゴンクール賞を受賞している。自伝的な著作も多く、『娘時代』以下の回想録は当時の知識人の生活の記録としても読まれている。
ジャン=ポール・サルトルとは生涯の伴侶であり、思想的な協働者だった。
文学史における位置
実存主義を性の問題へ拡張した。実存が本質に先立つという前提を女性の状況に適用し、「女性らしさ」が本質ではなく社会的に構築されたものだと論じたことになる。
『第二の性』は刊行当時から激しい賛否を呼び、ヴァチカンの禁書目録に載せられた。一九六〇年代以降の女性解放運動に理論的な基盤を与えたという評価が定着している。
ただし、今日の視点からは論の一部(特に生物学や精神分析の扱い、白人中産階級を前提とした記述)に批判もある。古典として読まれる一方で、無批判に受け取られてはいない。
代表作
- 『第二の性』(一九四九年)— 代表作。フェミニズムの古典
- 『レ・マンダラン』(一九五四年)— ゴンクール賞受賞作
- 『娘時代』(一九五八年)— 自伝の第一部
- 『老い』(一九七〇年)— 老いを主題にした論考
何から読むか
『第二の性』は分量が多い。 全体を通読するより、関心のある部分(歴史・神話・現代の状況など)から入る読み方が現実的である。
有名な一文が置かれているのは第二部の冒頭で、そこだけを読んでも文脈が掴める。
自伝から入ると、同時代の知識人の生活と思想が具体的に見える。
この先へ
- 時代の中で見る: フランス文学 20世紀以降
- 関連する思潮: 実存主義