サミュエル・ベケット
- 生没
- 1906–1989
- 国
- フランス
- 時代
- 20世紀以降
何をやったか
ゴドーを待ちながら(一九五二年刊、翌年初演)を書いた。二人の男が誰かを待ち、来ないまま終わる。 二幕あるが、二幕目は一幕目とほぼ同じことが繰り返される。
筋も、人物の背景も、解決もない。「何も起こらない、二度」と評された。初演時は理解されなかったが、次第に二十世紀演劇を代表する作品と見なされるようになった。
小説も書いている。『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』の三部作では、語る主体そのものが崩壊していく過程が書かれる。
アイルランド生まれで、英語とフランス語の両方で書いた。多くの作品をフランス語で書き、自ら英語に訳している。 母語を離れることで、修辞を削ぎ落とせると考えたとされる。
一九六九年にノーベル文学賞を受賞した。
文学史における位置
不条理演劇を代表する。 ウジェーヌ・イヨネスコ・ジャン・ジュネらとともに、一九五〇年代のパリで演劇の前提を作り変えた。
実存主義が世界の無意味さを論じたのに対し、不条理演劇はそれを議論せず舞台の上で起こしてみせる点が違う。ベケットはこの方法を最も徹底した。
アイルランド人がフランス語で書いた作品が、フランス演劇の代表作になっている。 これはフランス文学が国籍ではなく言語によって定義される面を示す例である。
若い頃にマルセル・プルースト論(一九三一年)を書いており、ベケットの出発点の一つがプルースト論だったことは、二十世紀の小説と演劇の系譜を見るうえで見落とされやすい。
代表作
- ゴドーを待ちながら(一九五二年)— 代表作
- 『勝負の終わり』(一九五七年)— 戯曲
- 三部作『モロイ』ほか(一九五一〜五三年)— 小説
- 『クラップの最後のテープ』(一九五八年)— 一人芝居
何から読むか
ゴドーを待ちながらから入るのが順当である。戯曲なので短く、二時間ほどで読める。
筋を探そうとすると行き詰まる。 何も起こらないこと自体が主題である、という前提で読むと入りやすい。上演の映像と併せると、間や沈黙の効果が分かる。
小説三部作は難度が高く、初読向きではない。
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