レフ・トルストイ
- 生没
- 1828–1910
- 国
- ロシア
- 時代
- 黄金時代
何をやったか
巨大な規模の小説を、細部の精度で成立させた。 戦争と平和(一八六九年)はナポレオン戦争期のロシアを舞台に、五百人以上の人物が登場する。アンナ・カレーニナ(一八七七年)は不倫と家族を主題にする。
方法の特徴は、人物の内面を外側の細部から書く点にある。手の動き、視線、部屋の様子といった具体物の積み重ねで心理が示される。
戦争と平和には歴史論が長く挿入されており、英雄が歴史を動かすという見方を否定している。 小説と論文が混在した構造で、本人はこれを「小説ではない」と述べた。
晩年に思想的な転回を経験し、芸術と私有財産を否定する立場に至った。『芸術とは何か』では、自作を含む多くの芸術を否定している。八十二歳で家出し、旅先の駅で没した。
文学史における位置
フョードル・ドストエフスキーと並ぶロシア黄金時代の頂点である。トルストイが外から見える世界の全体を書いたのに対し、ドストエフスキーは意識の内側を書いたという対比が一般的である。
写実主義の到達点とされる。ただし、社会の描写にとどまらず人間の魂の問題にまで押し進めた点で、フランスの写実主義とは性格が異なる。
晩年の思想は文学の外へ広く影響した。非暴力の思想はガンディーに影響を与えたとされ、宗教・社会運動の領域でも参照される。
代表作
- 戦争と平和(一八六九年)— ナポレオン戦争期のロシア
- アンナ・カレーニナ(一八七七年)— 不倫と家族
- 『イワン・イリイチの死』(一八八六年)— 死に直面した男の中篇
- 『芸術とは何か』(一八九七年)— 芸術否定の論
何から読むか
長篇二作はどちらも極めて長い。 先に『イワン・イリイチの死』のような中篇を読むと、文体と方法が短時間で分かる。
長篇に進むならアンナ・カレーニナのほうが筋を追いやすい。戦争と平和は歴史論の挿入があるため、小説部分だけを追う読み方でも成立する。
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- 対比される同時代人: フョードル・ドストエフスキー