ギ・ド・モーパッサン
- 生没
- 1850–1893
- 国
- フランス
- 時代
- 19世紀
何をやったか
短篇小説の技術を極限まで洗練させた。 十年ほどの活動期間に三百篇近い短篇を書いている。
方法の特徴は、説明を排して事実だけを提示し、結末で読者の理解を反転させる点にある。感傷も道徳的な判断も加えず、乾いた筆致で書く。
出世作は『脂肪の塊』(一八八〇年)である。普仏戦争を背景に、乗合馬車に同乗した人々が、娼婦だけが尊厳を守り、上流の人々が彼女を利用して捨てるという構図を描いた。エミール・ゾラを囲む若手の短篇集『メダンの夕べ』に収録され、一夜で評価を確立した。
ギュスターヴ・フローベールの指導を受けたことが知られている。母がフローベールの友人であった縁で、文章の訓練を受けた。
晩年は梅毒による精神の障害が進み、四十三歳で没した。
文学史における位置
自然主義に分類される。エミール・ゾラの周辺にいたが、理論には距離を取っていた。 遺伝と環境の科学的な追跡という枠組みより、個々の人間の観察に関心があった。
近代短篇小説の完成者の一人とされる。同時代のロシアのアントン・チェーホフと並べられることが多いが、方法は対照的である。モーパッサンが結末で反転させるのに対し、チェーホフは結末をつけない。
日本への影響が大きい。明治期に翻訳され、短篇小説の型として受容された。 自然主義の受容とも結びついている。
怪奇小説の分野でも重要な作品を残しており、『オルラ』は精神の崩壊を扱った作品として読み継がれている。
代表作
- 『脂肪の塊』(一八八〇年)— 出世作。普仏戦争と娼婦
- 『首飾り』(一八八四年)— 結末の反転で最も知られた短篇
- 『女の一生』(一八八三年)— 長篇
- 『オルラ』(一八八七年)— 精神の崩壊を扱う
何から読むか
短篇集から入るのが最も手軽である。 一篇が数ページから十数ページで、方法の特徴がすぐ分かる。
『首飾り』は結末の反転が有名なので、先に結末を知らないほうがよい。
『脂肪の塊』は中篇に近い長さだが、構図が明確で読みやすい。
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