アンドレ・ジッド
- 生没
- 1869–1951
- 国
- フランス
- 時代
- 20世紀以降
何をやったか
自己の欲望と、社会が課す道徳との対立を書き続けた。 『背徳者』(一九〇二年)では、病から回復した男が既存の道徳を捨てていく過程が描かれる。『狭き門』(一九〇九年)では逆に、禁欲を極めた女性が破滅する。
同性愛を主題として正面から扱った。 『コリドン』(一九二四年)では対話形式で同性愛を擁護し、当時激しい非難を浴びた。自伝『一粒の麦もし死なずば』でも自身の性を書いている。
『贋金つくり』(一九二六年)は、小説を書いている作家が登場する小説である。作中で小説論が語られ、構造そのものが実験になっている。
コンゴ旅行の記録では植民地支配の実態を告発し、ソ連訪問後には『ソヴィエト旅行記』でスターリン体制を批判した。当時の左翼知識人から激しく攻撃された。
文学史における位置
二十世紀前半のフランス文学における中心人物の一人である。 雑誌『新フランス評論』(NRF)の創刊に関わり、ガリマール社の出版方針に影響力を持った。
マルセル・プルーストのスワン家のほうへの原稿を断ったことが知られている。ガリマール社での判断に関わり、後にこれを自分の生涯最大の過ちとして詫びる手紙を書いた。文学史上最も有名な出版判断の失敗の一つである。
モダニズムの文脈に置かれるが、技法の実験より倫理的な問題への関心が強い。 その点でマルセル・プルーストやジェイムズ・ジョイスとは性格が異なる。
一九四七年にノーベル文学賞を受賞した。
代表作
- 『背徳者』(一九〇二年)— 道徳からの離脱
- 『狭き門』(一九〇九年)— 禁欲による破滅
- 『法王庁の抜け穴』(一九一四年)— 動機なき行為
- 『贋金つくり』(一九二六年)— 小説についての小説
何から読むか
『狭き門』が短く、主題も明確である。日本では長く読まれてきた。
『背徳者』と併せて読むと、同じ作者が正反対の極(放縦と禁欲)を書いていることが分かる。この対比がジッドの中心にある。
この先へ
- 時代の中で見る: フランス文学 20世紀以降