カリグラム

原題
Calligrammes
作者
ギヨーム・アポリネール
成立
1918
フランス
時代
20世紀以降

概要

ギヨーム・アポリネールが、1913年から1916年にかけて書いた詩を集めた詩集である。副題に「平和と戦争の詩」とある。

書名の「カリグラム」は、著者の造語で、美しい文字を意味するギリシャ語由来の語(カリグラフィー)と、電報(テレグラム)を掛け合わせたものとされる。指すのは、文字を絵の形に組んだ詩である。

雨の詩では、文字が斜めの筋になって頁を流れ落ちる。噴水の詩では、水が噴き上がって落ちる形に語が配置される。ほかにネクタイ、時計、心臓、鏡、エッフェル塔などの形をとった詩がある。頁を開いた瞬間、読む前にまず図像が目に入る。

ただし全篇がカリグラムではない。通常の行組みの詩も多く、とくに後半には戦場で書かれた詩が並ぶ。

文学史における評価と影響

詩を、耳で聞くものから目で見るものへ広げた試みとして重んじられる。それまで詩の視覚的要素といえば行分けと連の区切り程度だったが、この詩集は頁全体を表現の場にした。

同時代の絵画の動きと切り離せない。アポリネールはピカソやブラックのキュビスムを擁護した批評家でもあり、絵の側で進んでいた形の解体を、詩の側で試みたことになる。

以後、活字の配置そのものを表現に使う試みは、ダダ、シュルレアリスム、さらに20世紀後半の具体詩へと受け継がれた。マラルメが『骰子一擲』で頁の空白を用いた実験と並べて、詩の視覚化の源流に置かれる。

内容

前半の「平和」の部には、パリでの生活や恋を主題としたカリグラムが並ぶ。「雨が降る」では、五本の斜めの線となって文字が降り、読む者は頁を傾けて追うことになる。

後半は従軍中の詩が中心になる。アポリネールは1914年に志願し、砲兵として前線に立った。塹壕の生活、照明弾の光、遠くの恋人への思いが書かれる。星形や砲弾の形に組まれた詩もあり、戦争の只中で視覚的な実験が続けられたことが分かる。

巻末近くの「美しき赤毛の女」は、新しい時代の詩人としての自負を語る一篇で、「われらは正義を求める、冒険の側に立って」と呼びかける。詩集の刊行と同じ1918年、アポリネールはこの世を去った。

作者

登場する文学史