ヴィクトル・ユゴー
- 生没
- 1802–1885
- 国
- フランス
- 時代
- 19世紀
何をやったか
フランス・ロマン主義の理論と実作の両方を担った。 一八二七年、戯曲『クロムウェル』に付した序文で、古典主義が美しいものだけを選んで醜いものを排除しているのに対し、自然は崇高とグロテスクを混ぜている、と論じた。したがって文学もそれを混ぜてよい、という主張である。
一八三〇年、戯曲『エルナニ』の初演が劇場での騒乱に発展した。古典主義の擁護者とロマン派の若者が客席で衝突し、上演のたびに繰り返された。「エルナニ合戦」と呼ばれるこの事件で、17世紀以来の三単一の規則は事実上死んだ。
政治家としても活動し、ナポレオン三世のクーデタに反対して十九年間の亡命生活を送った。レ・ミゼラブル(一八六二年)はその亡命中に完成している。
文学史における位置
19世紀フランスにおける「規則の破壊」を象徴する人物である。ロマン主義が古典主義を倒した決着点が一八三〇年のエルナニ合戦であり、その中心にいた。
活動の幅が異常に広い。詩・小説・戯曲のすべてで代表作を持ち、しかも世紀の前半から末近くまで書き続けた。ロマン派の総帥のまま、自然主義の若者たちに囲まれて死んだという長寿の作家である。
レ・ミゼラブルは各国語版がほぼ同時期に出て、国際的なベストセラーになった。 十九世紀の作家で、これほど広い読者を同時代に獲得した例は多くない。今日でも舞台・映画を通じて読者以外にも届いている。
代表作
- 『エルナニ』(一八三〇年)— 上演が騒乱を引き起こした戯曲
- 『ノートル=ダム・ド・パリ』(一八三一年)— 中世のパリを舞台にした長篇
- レ・ミゼラブル(一八六二年)— 代表作。亡命中に完成
- 『静観詩集』(一八五六年)— 娘の死を機に書かれた詩集
何から読むか
レ・ミゼラブルは極端に長い。 本筋と関係のない章(ワーテルローの戦い、パリの下水道の歴史など)が長く続くため、完訳を通読するには相当の時間が要る。
初読なら抄訳や、児童向けでない要約版から入って全体の骨格を掴むのも現実的である。そのうえで完訳に進むと、脱線に見える章の意図が見えてくる。
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