ヘンリー・フィールディング

かつらをつけた横顔のヘンリー・フィールディングの銅版画。上部に名が刻まれている。
1743年頃のエッチング
原綴
Henry Fielding
生没
1707–1754
出身
サマセット州シャーパム・パーク
イギリス
時代
17-18世紀

生涯

1707年、サマセット州の地主の家に生まれた。はじめ劇作家として、政府や社会を風刺する喜劇で人気を得た。だが1737年、政府が舞台を検閲する法律を定め、風刺劇の上演が難しくなると、劇作の道を絶たれる。

そこで法律を学びなおして治安判事となり、ロンドンの犯罪取り締まりに尽力した。近代的な警察組織の先がけを作った人物としても知られる。小説を書いたのは、この判事としての後半生と重なる。健康を損ない、療養に赴いたポルトガルのリスボンで、四十七歳で世を去った。

作風

作品は、多くの人物と土地をまたいで進む大きな物語で、それ自体が一つの社会の縮図になっている。イングランドの各地を舞台に、階層のさまざまな人間が入り乱れる。

語り手が物語の表に顔を出し、皮肉やからかいを交えて出来事を論評する点にも特徴がある。同時代のリチャードソンが、手紙を通して主人公の内面を細かくたどったのに対し、フィールディングは外から社会全体を見渡し、笑いをもって人間を描いた。

作品

トム・ジョーンズ(The History of Tom Jones, a Foundling)(1749年)は、素性の知れない捨て子トムが、恋と誤解に翻弄されながらイングランドを遍歴し、やがて出生の秘密が明かされるまでを描く喜劇小説である。多くの筋を精密に組み上げた構成は、小説の構造の手本とされる。

出発点となった『ジョーゼフ・アンドルーズ(Joseph Andrews)』は、もともとリチャードソンの『パミラ』をからかう趣向から書き始められた作品である。

文学史における立ち位置と影響

フィールディングは、リチャードソンとともに近代英国小説の礎を築いた。二人は好対照をなし、リチャードソンが手紙による内面の描写を、フィールディングが社会全体を見渡す喜劇的な構成を切り開いた。この二つの方向が、その後の小説の展開の骨組みになる。

とりわけトム・ジョーンズの緻密な筋立ては、物語をどう組み立てるかという点で、後の小説家に長く手本とされてきた。

作品

登場する文学史