樋口一葉
- 生没
- 1872–1896
- 国
- 日本
- 時代
- 近代
何をやったか
「奇跡の十四か月」と呼ばれる期間に、代表作を集中して書いた。 一八九四年から九六年にかけてたけくらべ『にごりえ』『十三夜』などを発表し、その直後に結核で没している。二十四歳だった。
文体は擬古文である。井原西鶴の影響を受けた雅俗折衷の文章で、明治期に言文一致が模索されていた時期にあって、意識的に古典的な文体を選んでいる。
たけくらべ(一八九五〜九六年)は、遊郭に隣接する町の子どもたちを描いた。遊女になることが決まっている少女と、僧になる少年の、大人になる直前の時間が書かれている。
生活は困窮しており、雑貨店を営みながら書いた。この経験が下層の人々を描く視点につながっている。
文学史における位置
近代日本で最初の職業女性作家とされる。それ以前にも書く女性はいたが、原稿料で生活を立てようとした例としては早い。
森鴎外らがたけくらべを高く評価したことで、文壇での地位が確立した。ただしその直後に没したため、評価が定まったのは死後である。
文学史的には、近代の言文一致運動の流れから外れた位置にいる。古典的な文体で近代的な主題(貧困、階級、女性の境遇)を書いたという組み合わせが独特である。
二〇〇四年から五千円札の肖像になっており、日本の紙幣に採用された最初の女性でもある。
代表作
- たけくらべ(一八九五〜九六年)— 代表作。遊郭に隣接する町の子どもたち
- 『にごりえ』(一八九五年)— 銘酒屋の女
- 『十三夜』(一八九五年)— 離縁を望む妻
何から読むか
擬古文なので、註のある版か現代語訳を併用するのが現実的である。 原文のリズムは美しいが、初読で意味を取るのは難しい。
たけくらべが代表作だが、『十三夜』のほうが短く筋も明快なので、入口としては向いている。
著作権保護期間が満了しているため、青空文庫で読める。
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