ジョン・バニヤン

口ひげをたくわえ、書物を手にした茶色の上着姿のジョン・バニヤンの油彩肖像画。
トマス・サドラー筆(1684年)
原綴
John Bunyan
生没
1628–1688
出身
ベッドフォードシャー・エルストウ
イギリス
時代
17-18世紀

生涯

1628年、ベッドフォードシャーの村エルストウに、鋳掛け職人の子として生まれた。学問はほとんど受けておらず、若い頃は父と同じ鋳掛けの仕事をした。内戦で議会軍の兵士を務めたのち、激しい信仰の苦悩を経て、清教徒の一派の熱心な説教者になる。

王政復古の後、国教会に属さない説教は法で禁じられた。バニヤンはこれに従わず、無許可で説教を続けたために逮捕され、十二年にわたって獄につながれた。信仰の告白を撤回すれば釈放するという申し出も退けている。天路歴程の構想は、この獄中で育まれたとされる。

作風

用いる言葉は、聖書と、民衆のふだんの話し言葉から取られた平明なものである。難しい学問の語を使わず、具体的な情景と登場人物によって信仰の道のりを描いた。

信仰の道のりを、そのまま一つの旅として絵に描く寓意の手法に特徴がある。抽象的な観念が、人物や土地や出来事の姿をとって現れる。

作品

天路歴程(The Pilgrim's Progress)は、「滅びの町」を出た主人公クリスチャンが、天の都をめざして旅をする物語である。道中で通る「絶望の沼」「虚栄の市」といった土地や、出会う人物は、そのまま信仰者が直面する試練や誘惑を表している。抽象的な教えを、目に見える旅として描き切った。

回心の苦しみを記した信仰の自伝『あふれ出る恩寵(Grace Abounding)』も、心の記録として重んじられている。

文学史における立ち位置と影響

天路歴程は、長くイングランドで聖書に次いで広く読まれ、家庭の書物として親しまれた。「虚栄の市」のような寓意の地名は、日常の言葉として英語に定着している。

学問のない一職人が、聖書と話し言葉だけを頼りに、これほど広く読まれる物語を書き上げた点も大きい。平明な散文で人の内面と歩みを描くその手法は、後に生まれる小説の一つの源にも数えられている。

作品

登場する文学史