杜甫
- 生没
- 712–770
- 国
- 中国
- 時代
- 唐宋
何をやったか
戦乱の時代の現実を詩に書いた。 安史の乱に遭遇し、家族と離散し、各地を流浪しながら詩を作り続けた。千四百首あまりが伝わる。
主題は社会の現実と個人の苦悩である。徴兵で引き裂かれる家族、飢える民衆、荒廃した都。自身の困窮も繰り返し歌われる。
形式面では律詩を極めた。 対句の構成、音律の配置において、規則の中で最大の効果を出す技術に優れる。李白の自由さとは対照的である。
生前の評価は高くなく、詩人としての地位が確立したのは死後である。 宋代以降、詩の規範として尊ばれるようになった。
文学史における位置
[[li-bai]]と並び称され、「詩聖」と呼ばれる。 二人の対比(李白=天才・直観、杜甫=努力・写実)は広く知られるが、後世の整理による単純化を含む。
社会詩の伝統の起点にあたる。民衆の苦難を詩に書くという方向は、後の白居易(白居易)らに受け継がれ、中国詩の重要な系譜になった。
日本への影響も大きい。近世の松尾芭蕉はおくのほそ道の中で杜甫の詩を踏まえた句を残しており、漢詩の教養が日本の俳諧の背景にあることを示している。
「国破れて山河在り」の一句は、日本でも最もよく知られた漢詩の一節の一つである。
代表作
- 「春望」— 「国破れて山河在り」で始まる。最も知られる
- 「兵車行」— 徴兵で引き裂かれる家族
- 「石壕吏」— 徴発に来た役人と老婆
- 「秋興八首」— 晩年の連作。技巧の到達点
何から読むか
アンソロジーで代表作から入るのが現実的である。
杜甫は背景の説明があるかどうかで理解が大きく変わる。 どの戦乱のどの時期に、どこで書かれたかが分かると、詩の意味が立ち上がる。註と解説の充実した版を選ぶ価値が高い。