世阿弥
- 生没
- 1363頃–1443頃
- 国
- 日本
- 時代
- 中世
何をやったか
父の観阿弥とともに能を大成した。 将軍足利義満の庇護を受け、猿楽を洗練された舞台芸術に高めた。
能の特徴は幽玄にある。死者の霊が現れて過去を語り、舞い、消える。動きは極端に少なく、面は表情を変えない。 見る側が想像で補うことを前提にした様式である。
文学史上とりわけ重要なのが風姿花伝(風姿花伝、一四〇〇年頃)である。世阿弥が書き残した演技の理論書で、当初は一子相伝の秘伝として非公開だった。広く知られるのは明治末になってからである。
内容は具体的である。年齢に応じた稽古の方法、観客の質による演じ分け、そして「花」——観客を感動させる力——をどう保つか。
晩年は将軍義教に疎まれ、佐渡に流された。
文学史における位置
世界の演劇史を見ても、実演者自身がこの水準の理論を書き残した例は早い。 ヨーロッパで演劇論が体系化されるのは、フランス古典主義の十七世紀であり、二百年以上の開きがある。
有名な「秘すれば花なり」は、意外性がなくなれば感動も消えるという趣旨で、演出論として述べられている。神秘的な箴言としてではなく、実践的な技術論として読むのが本来の文脈である。
能そのものは中世に成立し、以後六百年以上にわたって上演形態を保ちながら継承されてきた。現存する演劇の様式として世界的にも古い部類に入る。
代表作
- 風姿花伝(一四〇〇年頃)— 演技論。代表作
- 『花鏡』(一四二四年)— 後年の理論書
- 謡曲『高砂』『井筒』など— 作者を世阿弥とする伝承のあるもの
何から読むか
風姿花伝は理論書だが、記述が具体的なので読みやすい。 年齢別の稽古論などは、芸事一般の教えとして読める。
現代語訳と註のある版が複数出ている。能の上演を一度見てから読むと、記述の意味が具体的に分かる。
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