近松門左衛門
- 生没
- 1653–1725
- 国
- 日本
- 時代
- 近世
何をやったか
人形浄瑠璃と歌舞伎の脚本を書いた。 百数十篇の作品が伝わる。
曾根崎心中(一七〇三年)の成立が、この時代の文学の性格をよく示している。実際に起きた心中事件を、事件の約一月後に舞台化した。 同時代の事件を即座に作品にして興行にかけるという速さは、現代のメディアに近い。
上演は大当たりし、以後心中物が流行した。幕府が心中を扱った作品を規制するに至っている。
作品の核にあるのは義理と人情の相剋である。守るべき義理があり、抗えない情がある。両立しないから人が死ぬ。
時代物(歴史を扱う)と世話物(同時代の市井を扱う)の両方を書いた。『国性爺合戦』は時代物の代表作である。
文学史における位置
近世演劇の頂点である。義理と人情の対立という型は、以後の日本の演劇・小説・映画に受け継がれ、今日まで生きている。
フランス古典主義の悲劇が義務と情念の対立を描いたのと構図が似ている。ただしフランスの悲劇の主人公が王侯貴族であるのに対し、近松の世話物の主人公は町人である。この違いは市民社会の成熟度と結びつけて語られる。
人形浄瑠璃という形式も重要である。人形が演じ、太夫が語り、三味線が伴奏するという分業によって、生身の俳優にはできない表現が可能になった。
代表作
- 曾根崎心中(一七〇三年)— 心中物の出発点
- 『国性爺合戦』(一七一五年)— 時代物の代表作
- 『心中天網島』(一七二〇年)— 世話物の完成形とされる
何から読むか
曾根崎心中が短く、筋も明快である。
戯曲(浄瑠璃)なので、語りのリズムを声に出して確かめると理解しやすい。 文楽や歌舞伎の上演映像と併せると、詞章がどう演じられるかが分かる。
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